カピバラの髭に湯の花春遅し   谷川 水馬

カピバラの髭に湯の花春遅し   谷川 水馬 『この一句』  伊豆・大室山、シャボテン公園名物のカピバラ入浴図をありのまま詠んで、春の気分を伝えている。カピバラは全身毛に覆われた小型の河馬のように見えるが、南米原産のネズミの種類なのだという。親は体長1メートル以上あるから、これがネズミと言われてもにわかに信じられない。それに、ネズミらしくなく、何とものそのそしているのだ。  そのカピバラが一家揃って温泉に浸かっている。暖かい南米育ちが日本に連れて来られて、寒さに震えていたところ、大室山の動物園でたまたま温泉に巡り会い、もともと水が好きな動物だからざぶんと飛び込んだ。動物園側はこれは絶好の客寄せになると、カピバラの入浴シーンがいつでも見られるような湯船つき展示室をこしらえた。  カピバラ一家は演技して見物人にサービスするつもりなど毛頭無く、好きで温泉に浸かっているだけなのだが、そこがまた何とも面白い。今年の春はいつまでも寒い。カピバラの入浴時間も長引きそうだ。(水)

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