うずうずと大地もうずく春暁に     山田 明美

うずうずと大地もうずく春暁に     山田 明美 『季のことば』  午前六時過ぎに窓の外を見て、これが「春暁だ」と思ったのは数週間前のこと。いま同じ時刻は、すっかり朝の明るさで、「春の暁闇(ぎょうあん)」を意味する春暁は五時台に退いている。そんなことを考えながら、前の句会の作品を読み直していたら、この句が目についた。  春暁に大地がうずくとは、目の付けどころが奇抜である。春を迎えて変化してくるのは、空や周囲の明るさだけではないのだ。万物が春の到来に気づき、地中の虫や草の芽が動き出せば、大地までがうずうずとしてくる。気温は寒曉の頃と同じでも、目に見えぬところでいろいろな変化が起きているらしい。  先々週の当欄で、春暁の句をいくつか紹介した。それらの句を選ぶ際、この句を見逃していた。それが今になって、なぜ目についたのだろうか。あの頃は六時頃に起きても、室内から春暁の様子をうかがうだけだった。ところがつい最近のこと、目が覚めたらばかに暖かい。さっそく今年初のウォーキングに出かけ、芝生のグラウンドを歩いてみた。あの時、靴底に大地のうずきを感じ取っていたのかも知れない。(恂)

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