白き田に我が影伸びる寒の暮   小林 豊彦

白き田に我が影伸びる寒の暮   小林 豊彦 『この一句』  職を退いて故郷の弥彦山の麓に帰った作者は、長年人任せにしていた農作業を始めた。高校時代までは親を手伝ってやっていたことだから、まんざらド素人というわけではないが、なにしろ40数年ぶりの帰農。都会暮らしで身体がすっかりなまっていたせいで、最初は大変だったという。  ロマンチストで理想主義者だから、やり始めるととことんやらずには気が済まない。日本一のコシヒカリを無農薬有機栽培でやることにした。言うは易く行うは難しとはまさにこのこと。除草剤など撒かないから田んぼの雑草取りも生半可ではない。抜くそばから生えて来る。二番草、三番草、四番草まで取ってようやく収穫。化学肥料の助けを借りないので、収穫量は落ちる。しかし出来たお米は天下一品。品評会で金賞をもらった。東京の昔の仲間が競って買ってくれるし、第一、都会住まいの孫たちが喜んでくれるのが嬉しい。  今や大雪の真っ最中。我が田は真っ白な雪に覆われている。犬を連れて周囲を歩きながら、雪解けとともにまた始まる農作業の段取りなどを考えている。(水)

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