爪を切る響きも硬き二月なり         須藤 光迷

爪を切る響きも硬き二月なり         須藤 光迷 『季のことば』  一月から十二月までの各月はみな季語になっている。その中で、特にイメージが湧きにくいのが二月ではないだろうか。とりとめがなく、捉えどころがなく、雪が降ったと思ったら、春一番が吹き、その後は寒かったり、暖かくなったりする。大学の入学がやがて九月になり、小中高もそれに倣うかも知れず、そうなったら二月から入試がなくなって、取って置きの特徴が一つ消えてしまう。  そういう状況の中で、この句は確かな二月の特徴を捉えた。このところずっと乾燥気味だった。東京の湿度は30%、時には20%という日もあり、爪にも潤いがなくなっているに違いない。「響きも硬き」と詠まれてみると、パチン、パチンという硬質の音が聞こえてくるようだ。  この句から私は、美しい女性が手の爪を形よく切っている、という情景を思い描いた。ところが「さびしそうですね、しょんぼり切っている」という、女性の感想が出て、びっくりした。そう言われたら、あぐらをかいて背を丸め、足の爪を切る男性の姿が急に浮かんできた。男女とも、二月の風景である。(恂)

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