開運という酒汲みて去年今年     大澤 水牛

開運という酒汲みて去年今年     大澤 水牛 『この一句』  昨年、「なぬ」とつぶやいて内容を確かめた新聞記事があった。見出しは「マッコリ、日本酒を追い越す」となっている。韓国の濁り酒マッコリが日本で人気だとは知っていたが、まさか、というわけだ。記事を読めば「日本のマッコリ輸入額が、韓国の日本酒輸入額を超えた」というものであった。  日本酒のじり貧ぶりはつとに知られている。生産量は年ごとに5%ほど減っており、蔵元が次々に消えていく。酒場では焼酎類やワインが日本酒を脅かす増加ぶりで、「とりあえずビール」だけで終わってしまう人も増えているらしい。女性を中心にしたマッコリ派ももちろん軽視できない存在である。  とはいえ上掲の句は、日本酒の底力を伝えてくれた。句会の主宰者である作者が「開運」を汲みながら年を越したとは何ともめでたい。この句を見たとたん、「おお静岡の、あれはいい酒だ」と頷いた人がいた。「酔吟会」という句会のメンバーも顔を並べていたから、句を誉めつつ日本酒の開運を祈った人もいただろう。わが畏敬する酒豪たちにとって日本酒こそが、去年今年を貫くものであった。(恂)

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