下駄の緒のきつく締まりて寒の入り   星川 佳子

下駄の緒のきつく締まりて寒の入り   星川 佳子 『季のことば』  六日は小寒。寒の入りである。これから二十一日の大寒を経て、ほぼ一ヶ月が一年中で最も寒い寒中ということになる。昔はこれが明けると立春大吉、お正月となったのだが、新暦では元旦が寒より前に来ることになって少々混乱をもたらした。  こういうことになった明治改暦で一番困ったのは当時の俳人だろう。困った挙げ句に歳時記の冬の間に「新年」という新たな部立てを設けた。凩とか北風とか冬の季題を詠んで、一旦「新年」の新春を詠み、再び「寒」という冬に帰ることにした。  この句、寒の気分を心憎いまでに現している。名句である。お正月におろした下駄だろう。鼻緒がきつく締まっていて、かじかんだ指に強く当たる。嫌というのではない、むしろしゃきっとした感じになる。ぎゅっと指を通して一歩踏み出すと、下駄が足裏にぴたりとついて、清々しい。(水)

続きを読む