胴上げの十指つかめる初御空   大下 綾子

胴上げの十指つかめる初御空   大下 綾子 『季のことば』  二日から三日にかけて行われる箱根駅伝。今や正月の風物詩として完全に定着した。この句は箱根とも駅伝とも言っていないが、優勝校チームの監督が大手町のゴールで胴上げされている風景を詠んだものに違いない。監督も選手たちも大空を見上げ、歓声を上げている。「十指つかめる初御空」にその喜びがよく表れている。  この句の季語は「初御空(はつみそら)」。初空とも言い、始めて明けた空、つまり元旦の空を言うのが本来だが、まあ三が日のうちならいいだろう。  ところで箱根駅伝は季語になっていない。正月早々のスポーツニュースのトップになるほど話題性に富んだ行事であり、季節を感じるものなのだから、十分に季語になる資格はある。俳句を詠むのは年配者か運動競技とは疎遠な人が多いせいか、どうもスポーツに冷淡なようだ。そのくせ「蹴鞠始め」「鷹狩」「寒中水泳」など古色蒼然たるものを歳時記に載せている。箱根駅伝といった生き生きとした季語を季語として定着して行きたい。(水)

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