草紅葉女ばかりの芋煮会   鈴木 好夫

草紅葉女ばかりの芋煮会   鈴木 好夫 『この一句』  日経俳句会では3年前から奥の細道のルートを大垣から逆に辿る「逆回り奥の細道吟行」を実行している。10月末にはその第5回として、山形・立石寺から山刀伐峠、封人の家、尿前関を訪ねた。これは立石寺の麓を流れる川のほとりで繰り広げられていた山形名物芋煮会風景の嘱目である。  今や「芋煮」は全国的に有名になり、肉なども入った豪華版だが、昔はごく素朴なものだったらしい。秋の収穫を終えてほっとした山国の人たちが、川原で火を焚き大鍋をかけ、持ち寄った里芋や茸をはじめ野菜を煮込んで、熱々を頬張りながら一杯やった。  昔は鍋をつつきながら大騒ぎするのは主として男どもだったが、今では女も負けてはいない。ちょうど我々が見かけた山寺の芋煮は老若取り混ぜての女ばかりの賑やかな集いだった。折からの秋時雨、慌てたのだろう山寺駅に向かう橋の下に引っ越して気勢を上げていた。こういう場面に出くわすのも旅の楽しさである。(水)

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