萩の花咲いているかと臥せる友   岩沢 克恵

萩の花咲いているかと臥せる友   岩沢 克恵 『この一句』  長いこと病床にあると、外の世界の変化が人一倍気になるだろう。寝ながら本を読むのはとても疲れる。テレビは見るに値するような番組がほとんど無い。ラジオも近頃のNHKは若者向けの軽薄なものか、聴取者からのどうでもいいような世間話を際限もなく垂れ流す番組ばかりである。  天井を見つめたり、窓の外の空を眺めたりしていると、どうしてもあれこれ考え始め、外界の動きに思い巡らす。季節の移ろいは、元気に外を飛び回っている人よりもむしろ鋭く感じ取る。「ああもう萩が咲いているはずだ」と思う。大好きな萩が見られるのはいつのことだろうか、当分は見舞いに来てくれた親友に花の様子だけでも聞いて満足するしかないだろう・・。  この句を見て子規の「いくたびも雪の深さをたづねけり」を思い出した。片や病床から再三再四外の雪の様子を聞く自分に気がついて詠んだ句。こちらは病床の友に突然聞かれて、万感迫る思いにとらわれて詠んだ句。どちらも読む者の心に迫ってくる。(水)

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