泣きぼくろ鏡に映す秋の暮 高橋 楓子
泣きぼくろ鏡に映す秋の暮 高橋 楓子
『合評会から』(番町喜楽会)
啓一 ちょっと作り過ぎかと思いましたが、女性のかわいらしさが出ていますね。「秋の暮」以外の季語を置いてみたらどうかと思いましたが……、やっぱりこのままでいいのかな。
詩朗 さびしい女性の気持ち。悲しくて鏡を見ているのだが、涙を流すほどではない、とい感じですね。
光迷 わびしい、さびしい、ということでしょう。句の背後にもっといろいろなことが隠されているようで、この女の人のことを考えさせられます。
冷峰 泣きぼくろって普通、鏡に映したくないんでしょう。映すというより、映ったのではないですか。
而雲 なるほど。「鏡に映る」もいいですね。
誰か 演歌っぽくないですか、これ。
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作者は同じ句会で「愛しているなんていまさら団栗蹴る」という句も出した。こちらも一定の評価を得たが、二句は続きものの雰囲気がある。一方を短句にして並べると、連句の「恋」の場面になりそうだ。(恂)