添書に今日も晴れです終戦日   大沢 反平

添書に今日も晴れです終戦日   大沢 反平 『この一句』  残暑見舞いを兼ねた絵手紙(葉書)が来た、と想像してみた。例えば茄子一つが葉書からはみ出すほどに大きく描かれていて、僅かな余白に「今日も晴れです」という文字が書き添えられている、というのだ。句会でこの句を見たとき、「うまく詠むものだ」と感心した。戦争を知る最後の世代、つまり七十歳をいくらか過ぎた世代の人には、グッとくる一句ではないだろうか。  この世代にとって、「終戦日」という季語は「原爆忌」とともに特別である。人生の中で最初に体験した重大事であり、あの日を忘れようとして忘れることができない。当時、国民学校(小学校)への入学前後という年齢であるからこそ、あの日の空の青さを鮮やかに思い出すに違いない。  戦争への思いにも世代特有のものがあるようだ。それだけに「終戦日」を詠むと当時の記憶がストレートに表れがちで、俳句として趣に欠けることにもなる。この句の作者も同じ世代なのに、何とあっさりと詠めるものか、とうらやましくなった。なお作者の俳号「反平」は「反戦平和」の略だという。(恂)

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