出張も行楽もなく雨涼し   高橋 淳

出張も行楽もなく雨涼し   高橋 淳 『勉強会から』  原句は「出張も行楽もなし雨乞ひす」。上々のお天気の週末、これが出張中であれば休日を利用して付近の名所旧跡を訪ねることができたのに。実は仲間に旅行に誘われていたのだが、出張するかも知れないと断ってしまった。ところが出張は中止、結局自宅でぼんやり過ごすはめになってしまった。今更どこへゆくあても無ければ、何をする計画もない。そう思うとこの上天気がかえって恨めしい。ええい、いっそのこと雨でも槍でも降ってしまえ、というのだ。思わず腹をかかえて笑ってしまう句である。  コンチクショーという気持を正直にぶちまけたところは実に面白いのだが、「雨乞ひす」とはあんまりだ。鬱憤晴らしがあまりにもストレートに出過ぎて、子どもっぽい。もう少し上品に、というわけで、作者が元々考えていた「雨涼し」に落ち着いた。何の予定もない休日、窓越しに夏の雨を眺め、のんびりとした気分に浸っているなかなかの句である。しかし、原句のだだっ子のような無茶苦茶な詠みっぷりにも捨てがたい味があるとの声もあった。(水)

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