夏帯を一呼吸してぎゅつと締め   岩沢 克恵

夏帯を一呼吸してぎゆつと締め   岩沢 克恵 『合評会から』(番町喜楽会) 六甫 花街のね粋筋のオネエサンが、さてこれからお仕事、という感じがしますな。いいですなあ。 百子 そうではないと思います。普通の家庭の奥さん。夏の着物、絽かなんかでしょうが、ちゃんとした所へ出かけるんで帯もきちんとしなきゃと、きつく締めるんです。 光迷 気が重いけど行かなきゃいけない所、お通夜や葬式なんかもそうですが、さあという感じが「一呼吸して」によく現れています。           *  六甫氏の読み方は実に面白い。しかし、やはり百子、光迷両氏のような場面ととるのが素直だろう。夏場の着物姿は傍で見る分にはきりっとした感じで清涼感を抱くが、身体の真ん中を帯で締め上げ風通しを遮断してしまうのだから、着ているご当人の苦労は大変なものだろう。「一呼吸して」気合いを入れるのもむべなるかなである。(水)

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