一ミリの坊主頭や五月晴     大石 柏人

一ミリの坊主頭や五月晴     大石 柏人  『この一句』  その昔、子供の坊主刈りに「五分刈り」とか「三分刈り」というのがあった。五分は一寸(約3センチ)の半分だから、約一センチ五ミリ。くりくり坊主よりかなり長めで、親にこの刈り方を許されると、ちょっと大人になった気がしたものだ。ところが句の作者は三分よりもずっと短い一ミリにしてしまった。お坊さんの剃り上げた頭のようになったのではないだろうか。  同じ年寄りでも残りの髪に恋々としているのとは違って、まことに潔い態度だ。この人、まだまだ元気いっぱい、やる気十分、と思わせる。外を歩くとき、坊主頭は日光が直射するので、意外に熱いものだ。しかし風の心地よさは長髪とは比べようがなく、体の中に新鮮な気持ちが湧き上がってくる。  蛇足ながら五月晴れは、梅雨晴れのこと。雨続きの中の貴重な晴れの一日、作者は散歩をしているのだろう。頭に当たる風がばかに涼やかである。そうだ、きのう、頭を刈ったのだな、と気づく。そこで浮かんだのが上掲の一句。まあまあの句かな、などと思いながら、歩を緩めることはない。(恂)

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