守宮ゐてそのほかもゐて古家かな      広上 正市

守宮ゐてそのほかもゐて古家かな      広上 正市 『この一句』  守宮は「やもり」と読む。実は句会で、この文字が読めなかったので選ばなかった、という人がいた。難しい漢字には振り仮名をつけるべし、と私(筆者)などは思っているが、俳句をやるからには難しい字も読めなくては、と言う人もいる。やもりには「家守」、それに「壁虎」というすごい表記もあり、どうせなら平仮名の方がいいかも知れないし……。守宮君自身はどう考えているのだろう。  それはさて置き、これはいい句だと思う。郊外か田舎の古家なのだろう。守宮が住み着いていて、夏の夜には天井や壁に張り付いていたりする。長さは十造らいか。爬虫類独特の不気味さもあるが、可愛らしくもある。家を守ってくれるというのだから、有難い存在ともいえよう。  しかしこの家には、「そのほか」も同居している。守宮はまあいいとして、ねずみ、むかで、ごきぶり、などなどがいる、ということが分かる。この句を選んだ人たちはみな「そのほかもゐて」という表現を賞賛していたが、最後の評者(昭生さん)はこう語った。「お年寄りの住まいなのだろう。“そのほか”には老夫婦も含まれているのではないか」。句だけでなく、感想にも参った。(恂)

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