更衣鏡に入りて二歩三歩   玉田春陽子

更衣鏡に入りて二歩三歩   玉田春陽子 「季のことば」  6月1日になると学校や企業(工場や大規模小売店など)の制服が一斉に夏物に換わる。そして10月1日(所によっては11月)には冬服になる。更衣(ころもがえ)は年に二回あるのだが、真っ白な夏服に換わるのがいかにも爽やかな感じがして印象的だから、「更衣」は夏の季語とされている。  この間にも以前は春と秋に「間服(合服)」に換える習慣があったのだが、近頃は地球温暖化のせいか、エアコンが普及したためか、おしゃれなご婦人以外は間服を着る人がめっきり減った。中には一年中夏服のような格好の人も少なくない。手間が省けて結構だが、季節の移ろいを感じる繊細さも失われてしまう。  この句の作者はその点至極敏感である。奥さんだろうか、更衣の季節を迎えて姿見に映してあれかこれかと試している。デパートの婦人服売り場の光景かも知れない。自分のことだとしたら、とんでもない洒落男である。(水)

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